蒼恋物語 【教師×生徒の恋バナ第一弾】
乗り込んだ電車は混みあっていたため、到底座ることなんてできなかった。



人の波に押され、アンジェだけが私たちと離れた場所に1人で立っていた。



私は男子と談笑する。


しばらくすると、坂下先生が私に声をかけた。



「余合さん、申し訳ありませんがアンジェの様子を見に行ってもらえませんか?」




1人にさせるのは、可哀想だから?


だからって、こんな混みあっている中を通り抜けるのは無茶だと思う。




「私では身動きが取れません、早く!」


小声だけど、かなり切羽詰ったような口調だった。



小柄な私ならば、坂下先生よりは他の乗客に迷惑はかけないと思うけど…。


坂下先生に言われたとおり、アンジェのもとへ向かう。





彼女の近くまで辿り着いて目にした光景に、私はびっくりした。


アンジェが、痴漢に遭っていたから…。



痴漢を怒鳴りつけそうな感じの彼女が、青い顔して震えていたのは意外だった。



坂下先生はそれをいち早く察知したのに、何で私は気づいてあげられなかったんだろう?




ううん、反省は…後にしよう。







  
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