蒼恋物語 【教師×生徒の恋バナ第一弾】
最終学年突入
梨香サイド 1
4月、私たちは3年生になった。
クラスは持ち上がりのため、関心事といえば担任・副担任が誰かということくらい。
この前の離任式では、坂下先生の名前が呼ばれることがなかったので、期待しながら掲示板を見る。
『坂下HR』に私たちの名前があったのを見て、クラスのみんなが喜んだ。
始業式前に、昨年と同じように坂下先生が講堂への移動を呼びかける。
「今年も担任で嬉しいでーす!」
男子数人が、紅白の紙吹雪を散らしながら言った。
「歓迎していただけるのはありがたいのですが、後片付けはしておいて下さい。」
「はーい。
掃除で、始業式にちょっと遅れまーす。」
「校長先生の長いお話を、聞きたくないための口実ですか?
清掃は、始業式後でも結構です。」
坂下先生は、髪や肩に付いた紙吹雪を払った。
「副担任、ヒントだけでも教えてー!」
「この学校に、あの先生の手綱を持って操ることができる教員は数少ない…とでも言っておきましょうか。」
相当のじゃじゃ馬…とでも、言いたいのかな?
私の席のそばにある教室の後扉から、坂下先生は出て行った。
出て行く際に、独り言のように発した言葉は聞き逃さなかった。
「そう簡単には、手放したりしません。」
間違いなく、蒼先生だと確信した。
クラスは持ち上がりのため、関心事といえば担任・副担任が誰かということくらい。
この前の離任式では、坂下先生の名前が呼ばれることがなかったので、期待しながら掲示板を見る。
『坂下HR』に私たちの名前があったのを見て、クラスのみんなが喜んだ。
始業式前に、昨年と同じように坂下先生が講堂への移動を呼びかける。
「今年も担任で嬉しいでーす!」
男子数人が、紅白の紙吹雪を散らしながら言った。
「歓迎していただけるのはありがたいのですが、後片付けはしておいて下さい。」
「はーい。
掃除で、始業式にちょっと遅れまーす。」
「校長先生の長いお話を、聞きたくないための口実ですか?
清掃は、始業式後でも結構です。」
坂下先生は、髪や肩に付いた紙吹雪を払った。
「副担任、ヒントだけでも教えてー!」
「この学校に、あの先生の手綱を持って操ることができる教員は数少ない…とでも言っておきましょうか。」
相当のじゃじゃ馬…とでも、言いたいのかな?
私の席のそばにある教室の後扉から、坂下先生は出て行った。
出て行く際に、独り言のように発した言葉は聞き逃さなかった。
「そう簡単には、手放したりしません。」
間違いなく、蒼先生だと確信した。