蒼恋物語 【教師×生徒の恋バナ第一弾】
梨香サイド 2
季節は移り、まだ残暑厳しい日の昼休み。
今日も私は2人分のお弁当を手に、屋上前の扉へ急ぐ。
「リコ、遅い」
扉の窓ガラスから、差し込む光に照らされたアンジェが呟いた。
クラスの違う彼女とは、昼休みを一緒に過ごす仲になった。
出会ったときは、安全ピンをピアス代わりに刺していた彼女だったが、今ではリング状のピアスをルーズリーフのようにたくさんつけている。
それでも、こうして光に照らされた彼女は、ダークエンジェルなんて異名は似合わないと改めて思う。
私は、彼女によく似た崇高なものを知っているから…。
「ごきげんよう、アンジェ。4限の数学はサボタージュなさったの?」
「悪い?」
「大いに悪い、山田は留年でもする気か?」
いきなり、背後から声がした。
この声は間違いなく、蒼先生の声だ。
私の、大好きな人。
「私を、苗字で呼ぶな!」
アンジェの声に怒りがこもる。
「何で?」
蒼先生が、尋ねる。
私も聞いてみたかったことだけど、なんとなく避けていたことだ。
「義父の苗字は、名乗りたくない。」
そう言ったアンジェの目が、少し曇った気がした。
蒼先生は、深くは追求しなかった。
今日も私は2人分のお弁当を手に、屋上前の扉へ急ぐ。
「リコ、遅い」
扉の窓ガラスから、差し込む光に照らされたアンジェが呟いた。
クラスの違う彼女とは、昼休みを一緒に過ごす仲になった。
出会ったときは、安全ピンをピアス代わりに刺していた彼女だったが、今ではリング状のピアスをルーズリーフのようにたくさんつけている。
それでも、こうして光に照らされた彼女は、ダークエンジェルなんて異名は似合わないと改めて思う。
私は、彼女によく似た崇高なものを知っているから…。
「ごきげんよう、アンジェ。4限の数学はサボタージュなさったの?」
「悪い?」
「大いに悪い、山田は留年でもする気か?」
いきなり、背後から声がした。
この声は間違いなく、蒼先生の声だ。
私の、大好きな人。
「私を、苗字で呼ぶな!」
アンジェの声に怒りがこもる。
「何で?」
蒼先生が、尋ねる。
私も聞いてみたかったことだけど、なんとなく避けていたことだ。
「義父の苗字は、名乗りたくない。」
そう言ったアンジェの目が、少し曇った気がした。
蒼先生は、深くは追求しなかった。