この声が届くことはもう…。
婚約者
翔の歌声に皆が聞き惚れていると
「コラァー」
先生が教室にきた。
「おい鳴海!
歌ってないで席着け!!」
クスクスと周りが微笑しつつ
教室は静かになった。
「おし、出席とるぞー」
先生は出席簿を手に取り、
鉛筆をおでこに当てた。
「朱間ー」「はい」
「石田ー」「は~い」
「如月ー」 ………
先生が誰かの名前を呼び、
おでこから鉛筆を外した。
「っと、ここで新入生だ」
その言葉に周りがざわめき始める。
「如月、入れー」
言葉のすぐあとにガラッと
教室の扉が開いた。
先生の隣まで歩いてきた女性は
「うっわキレー。」
「誰誰??」
「美人だな~」
とクラスの男子が騒ぐほど…綺麗。
これまたモデルさん…?
「アメリカからの帰国子女だー。
みんな仲良くなー。
如月、少し挨拶を…」
先生が言いかけたところで
美人さんが口を開けた。
「翔っ!」
バンッッ!!
っと翔の机に両手を素早く下ろし、
顔を近づけて名前を呼んだ。
「れっ、麗華…?」
2人の会話に周りが反応した。
私と純也も顔を見合わせる。
「なんだー、知り合いかー??」
先生が先に進めようと話を止めた。
如月…さん?は
そのまま翔に抱きついたまま
離れない。