跡目の花嫁さん~家元若旦那の極上のキス~
いつもと変わらないオフィスの日常が始まった。



「いってきます」


朝から和也は外回りで黄田川さんと外出。



私は軽く手を振って、二人の姿を見送った。



「あのう・・・」


豊かな黒髪に白い真珠のような肌。

バイオリンケースを持った女性が受付け席を訪ねてきた。



「あなたは…笹沼さんのお嬢さんの舞子(マイコ)さん?」


「あなたは母をご存知なんですか?」


「氷見流全派の『花鳥会』の研究会でお世話になってます…柏木と言います…舞子さんの顔も拝見した事あります」


「『花鳥会』ですか…私は緑川派ですが・・・柏木さんは?」


「本家です…」


「…」

私には入れない二人の世界。





< 103 / 203 >

この作品をシェア

pagetop