跡目の花嫁さん~家元若旦那の極上のキス~
着物では高級品とされる結城紬のグレーの着物を着込み、一人で花を生けていた。



「会社の仕事はどうだ?」


「順調です…」


「忙しいのか?今回のいけばな展の出展は難しいか?」


「はい、申し訳ございません」


「会社から頼りになれているんだな。私として鼻が高い」


父さんの言葉にキュッと胸が締まる。


俺はこの2年間、ずっと華道の世界から逃げていた。


次期家元の自覚があるんだけど、父を超える事ができず、それを悩み、実家を出て一人暮らしを始め、花の世界とは無縁の世界で暮らしていた。












< 48 / 203 >

この作品をシェア

pagetop