美女がダサ男に恋をした!?
「かわっ…」
放課後。
校門の前に立つ河田に駆け寄ろうとして
…思わず、足を止めた。
河田の隣には河田と同じくらいぽっちゃりとした…女子の姿。
とても話しそうに何か話している。
か…河田も女子と話すんだ…。
驚きと同時に、なんかショック。
しかも河田、めちゃくちゃ楽しそうだし…
あたしといる時よりも…
ズキン…
心臓のずっと奥の方がいたい。
今まで感じたことのない痛み。
…そしてどうしようもない焦燥感。
「河田!」
二人の会話に割り込むようにして近づいた。
「ごめん、待った?」
「あ、いえ…」
「え…牧瀬さん!?」
すると河田と話していた女子が声をかけてきた。
「あたしC組の三神結衣っていいます!牧瀬さん美人って有名だけど、近くで見ると想像以上に美人さんなんだね~!」
「…はぁ」
ニコッと笑う三神結衣という女子は、ぽっちゃり体型に昭和ですか!?という感じの黒髪おさげ。顔のパーツがどれも小さくて…お世辞でも美人、とはいえない顔立ち。
あたしとは正反対。
「じゃぁ一樹、また電話するねー!」
一樹!?
しかもまた電話する、って…
爆弾発言をして、三神結衣は帰って行った。
「…河田ケータイ持ってないんじゃなかったっけ?」
「あぁ、家の電話です」
家電!?
「へ…へぇ、すっごく仲良いんだね~」
「はい、まぁ。結衣とは幼稚園前からの付き合いなんで…」
結衣、ね…河田も名前で呼んでるんだ…
しかも幼稚園前って…かなり長い付き合いじゃん。何それ。“幼なじみ”ってやつ?お互いもう何もかも知ってます的な?ふーん…へぇ。
「ずいぶん楽しそうだったじゃん…」
「そうですか?」
「そうだよ!あんな子、ブスじゃん…ブスと話してなんか楽しいの?」
こんなこと言うつもりはないのに。
止まらない。
「デブだし昭和みたいな三つ編みだし、まじ信じらんない」
「牧瀬さん」
河田がいつになく強い瞳で、あたしを見る。
「…悪く言わないで下さい、結衣のこと」
カァッ…
頭に血がのぼって、もう何も考えられなくなった。