美女がダサ男に恋をした!?
「お~美愛じゃん!おっはー」
「…おはよ」
嫌々ながら登校直後、昇降口でさっそく純平につかまった。
「聞いたぞ?
お前河田に告ったんだってなー」
「っは!?」
な、なななななな
いつも通りのチャラスマイルでとんでもない事をいい放った純平に固まるあたし。
「な、何で知ってんの!?」
「え、噂?
校門のとこで大声で告ったんだってなー。ヒューヒュー☆」
わざとらしく囃し立ててくる純平がうざい。
でも、まぁ確かに。
あんなに目立つ場所であんなに大声出して。
噂にならない方がどうかしてる。
「もう皆やばいよー、あの噂の美少女牧瀬美愛がダサ男河田に熱愛!って、かなり白熱しちゃってる感じー」
「…あっそ」
「しかも河田フッたんだろ?お前のこと。はは♪あんなダサ男の分際でマジ信じらんねー♪
つかお前フられんのとか人生初なんじゃねぇ?しかもあんなダサ男にフられるなんて、かなり屈辱だろ」
…マジうざいコイツ。
フられたのも告ったのも人生初だっつーのバーカ!
「うるさい。黙れ」
イライラしてきたあたしは純平に背を向け歩き出す。
「お前さぁ、マジなわけ?」
しつこく追いかけてくる純平。
「は?」
「こないだ言ってた好きな奴って河田なわけ?」
「…だったら何」
「はぁ?お前頭おかしくなったんじゃねーの?」
無理矢理肩に手をまわしてくる純平。
「なぁ目ぇ覚ませよ美愛。
あんなダサ男なんてお前に似合わねーから。
俺にしとけよ♪」
「っとウザイなぁ!」
思い切り、純平の手を肩から退かしてやった。
「じゃぁあんたがあたしに似合うとでも?バカ言うなよバカ。
あんたみたいな顔だけ男、誰が」
「はぁ?お前こそ何言ってんの?
今までお前男の顔しか見てなかっただろ?
つーかお前こそ顔だけだし」
ハッと薄ら笑いでそう言う純平。
「はぁ!?」
ムカつく…!!
「あんたにだけは言われたくない!」
「俺もお前だけには顔だけとか言われたくねーよ。…じゃーな」
踵を返し、だるそうに廊下を歩いていく純平の背中を思い切り睨み付けた。