美女がダサ男に恋をした!?
「で。
相談って何」
あたしは自分の出来る精一杯の憎しみを込めた瞳で純平を睨んだ。
お前のせいで河田との放課後デート潰れたんだよこの野郎コブタ☆スマイルを間近でもっともっともっと拝めるチャンスをふいにしやがって閻魔大王に代わって火の海に突き落としてやろうかあぁ゙ん!?
「え、なんか今すっごい怖いこと思ってそうお前」
「思ってそうじゃねーよ思ってんだよいいから早く話して」
ドカッと純平の隣のベンチに座って脚を組む。
「ってか何の相談?まさか進路?人間関係とか?」
「ちげーよ、恋愛」
「恋愛ぃ?」
おー、とベンチに後ろ手をついてだるそうに頷く純平。
…へー、こいつも恋愛で悩むこともあるのか。この女だったら基本誰でもカモン☆なこいつが。
「好きな人でも出来たの?」
「まーな、元カノなんだけど」
元カノぉ?そーいえば純平、あたしと別れて速攻先輩と付き合ってたよね。
三年で一番美人って評判な…(ちなみにあたしは学校一)、五十嵐先輩、だっけ?
「付き合ってる時はテキトーだったのにさ、なんか今になって無性に気になんの」
そう言う純平は、なんだか珍しく真剣で。
「…へぇ」
「その元カノ、今、好きな奴いるらしくてさ。なんつーか、好きな奴追いかけてるそいつ見てると、無性に自分のものにしたくなるんだよな」
…片思い、ってことか。なんてコイツに似合わない響き…
あたしと同じだ。
あたしも河田に片思いしてる。だって河田は、あの幼なじみの三神結衣って子が好きだから。
だからなんだか、純平の気持ちが痛いくらいよく分かって。
「…うん」
あたしは組んでいた脚を解いて、純平に向かい合う。
「…もう、気持ちは言ったの?」
「…いや。言ってねー。答えとか分かってるしな」
純平がハァ、と深いため息を吐いて、あたしを見る。
「つーか気づかねぇ?
…ちなみにその片思いの相手、正確に言うと元元彼女なんだけど」
元元彼女…?
あたしが知ってる中で、あたしの後にコイツが付き合ったのは三年の五十嵐先輩だけ。
いやでも、コイツの女のサイクルは恐ろしく早い。五十嵐先輩の他にも一人や二人付き合ってたっておかしく…
「美愛だよ」