美女がダサ男に恋をした!?
ふ、と純平が動きを止めた。
振り返ると
「え…河田?」
息を切らした河田が、肩で息をしながら立っていた。
「…す、すみません、が…」
そして早足であたしの方まで来ると
「牧瀬さんに触らないで貰えますか」
おおよそ河田が発するとは思えない言葉を発し、あたしの手をつかむ。
「おいブタ」
そんな河田を阻み、あたしをつかむ力を強くする、純平。
「まだ美愛から返事もらってねーし、そんな簡単にやるわけにはいかないんだけど?」
そして挑戦的な笑みを浮かべる。
純平は中身はともかく、イケメンだ。
でも、あたしは…
不覚にも見とれてしまいそうになるイケメン☆スマイルより
「…あたしは」
決してイケメンではないコブタ☆スマイルをもっと
見ていたいと思う。
「あたしは河田が好き。
…今まで人を好きになるってどういうことなのか分からなかったあたしだけど
河田に会って分かったんだ」
純平はあたしの返事を聞いて、一瞬目を伏せると
「お前ほんと男見る目ねーなー」
もう、こうなることが分かってたみたいに、柔らかく笑った。
「まーお前がコイツでいいと思うんならいいんじゃねぇの?」
そしてあたしを掴んでいた手をはなす。
「じゃーな」
振り向かないままヒラヒラと手だけを振って、純平は歩いて行った。