【BL】今日も恋に堕ちる
「将吾さ、遠山 蓮ってやつ知ってる?」
「――蓮!?蓮に会ったのか!?」
「え、あ、うん。」
これはすごく予想外な反応。
「大丈夫か?何もされてなかったか?」
勢いよく詰め寄られて、たじろいでしまう。
「だ、大丈夫」
「そうか。良かった」
「蓮のこと知ってんだ?」
「知っていると言うか…。蓮は俺の――」
言いかけて、教室のドアが開いた。
「やっぱりここか」
「蓮!?」
ダルそうに中に入ってきたのは、話題の人。
「将吾、ちょっと葵借りてくぜ。」
「は?ちょっ……待っ――」
俺はグイッと腕を引っ張られ、椅子から立ち上がった。
「蓮、葵が嫌がってる。」
将吾がもう片方の腕を取り、俺の身体を止めてくれた。
「ちょっとぐらい良いだろ。話したいことがあるんだよ。俺のお願いなら聞いてくれるよな?」
蓮が挑発的な笑みで将吾を見た。
「将吾?」
将吾の顔を伺うと、困ったような苦しい表情で俺を見た。
「な?いいよな、将吾?」
「……分かった。ただし葵が嫌がることはするな。少し話をするだけだ。いいな?」
え……?
将吾が口だけ“すまない”と動かし、俺の腕を離した。
「心配すんなって。すぐ返してやるよ。」
俺は強制的に教室から引きずり出された。
心配そうな眼差しを将吾は向けていた。
そんな目をするぐらいなら、手……離すなよ。
ちょっとした苛立ちと少しの寂しさが俺の心を渦巻いた。