【BL】今日も恋に堕ちる



蓮を睨んでやるけど、そんなことものともしないで、蓮は話を続ける。


「で単刀直入に聞くけど、葵は榊とどういう関係?」
「どういうって……」



恋人って言いかけて、俺は口を閉ざした。



普通に考えて、男と男が付き合ってるってマズいよな…。



「…友達」
「そんだけ?」



頷いたけど、ぎこちなかったかも……。


「ふーん…なら良いけど」
「どういう意味だよ?」
「別に。今のうちに言っとくぜ。榊に深入りすんな。」
「は?」
「アイツに近付くな。」


こっちの話を聞こうともせず、蓮は一方的に喋る。



「何でそんなこと言われなきゃなんねーんだよ!?」
「何で?俺にはその資格があるからだよ。」
「は?資格ってなんだよ?」
「お前には関係ない。とにかく榊に近付くな。いいな」



念押しすると話は終わりだと言って、蓮はその場から歩き出してしまう。



「ちょっ……待てって!そんなの納得できねーよ!」



その背を呼び止めるけど蓮が振り返ることはなく、俺は煮え切らない思いのまま立ち尽くした。



なんなんだよ、マジで。


近付くな、なんて…
なんでアイツに言われなきゃならないんだよ!?


俺は……

俺が将吾の恋人なのに。


なのに、どうしてアイツが……ッ。



「マジ……訳わかんねーし。」


寂しさや怒りや不安がグチャグチャと胸にはびこる。



こんな感情は知らない。


これが恋ってやつなのか…?


だとしたら、人を好きになる価値ってなんなんだろう?




< 35 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop