母へ


あなたが癌だと聞いた時、一瞬にして何もかもが変わった。


見える景色、聞こえる音、定まらない感情。


もしかしたら居なくなるの?


そう思うだけで、足元が揺らいだ。


怖くて怖くて仕方がなかった。


けれど1番怖いのは、お母さん、あなただから。


だからちゃんと勇気づけよう。


側にいるから。


大丈夫だからと言うつもりで家に帰った。


顔をみた瞬間、涙が止まらなかった。


言葉なんて、出やしない。


ただ部屋に逃げ込んで、声を殺して泣いただけ。




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