母へ
そうしたら部屋に入ってきた。
「暗い部屋で何をしているのか。早くご飯を食べなさい」
その時にはもう、腹をくくっていたよね。
逆に励まされるなんて、情けない息子。
その夜。
眠れないからと起きていたあなたは、声を殺して泣いていたよね。
布団の上で丸くなって。
あれだけ大きく感じた背中は、小さく小さく、肩が震えていた。
僕は泣きながら、そっと肩に手を置いた。
大丈夫。
グッと肩に力を入れて。
大丈夫大丈夫。
自分に言い聞かせるように。