幸せである理由
蒼斗からしたらもういい加減にしてくれって思うよ……



私だって帰って欲しくなんかないけど……




帰ってもらわないともう耐えられない…




(自分のエゴで大切な人を傷つける私はなんて愚かなんだろう…)




私はギュッと眼を瞑り蒼斗が立ち去る音を聞こうとした。





それなのに…





「阿呆か。お前置いて帰れるわけねぇだろ…」




「一緒に帰んぞ。」





耳に入って来たのはさっきとは正反対の優しい声と言葉…




ねぇ…?




どうして…君は私に…優しくするの…?




さっきみたいに突き放してよっ……!!




じゃないと…っ…




「っ…一人で…帰って…!」




…無理だよ…っ…




「危ねぇって……」


「…っ…やめ…っ…」





やめて…そんなことを言われたら……




「…雫…?」




諦められないよ…っ!!!


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