幸せである理由
「っ!!帰ってってば!!!」




シンと静まり返った私と蒼斗の空間。



蒼斗は驚いたのか何も言わない…



私はただスカートをギュッと握り締めた。



―ジャリ…―





「…………なぁ…いい加減にしろよ…?」





少し離れていた蒼斗が近付いて来るのがわかる。




逃げようと思えば逃げれた…




でもそうしなかったのは……




できなかったのは…




蒼斗が好きだから。





―ジャリッ…―




目の前で立ち止まった蒼斗は私の目線に合わせるためにしゃがんだ。




ねぇ…蒼斗…




こういう優しさが今の私を苦しめるという事に気付いてる…?



私は、私の顔が蒼斗から見えないように…蒼斗の顔が見えないように必死だった。




―ジャラッ…―




それが気に入らないのか蒼斗は小さく舌打ちをして私が逃げれないようにブランコの鎖を持った。

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