幸せである理由
まるで時が止まったかのように私は動けない…




そして蒼斗は言った。





「あの言葉は何?」





―ドクッドクッ…―




心臓が耳にあるみたいに煩い…





「…っ…それはどういう意味で聞いて「さっきの言葉は“幼馴染み”としてかって聞いてんだよ。」




何それ…?




「……っ…わからないの…?」




やっとの思いで絞り出した声は情けないくらい小さく震えていた…




(私の告白は“幼馴染みとしての好き”に取られちゃったの…?)




「っ……!」




そう考えた瞬間、やっぱり自分は蒼斗の恋愛対象ではなかったんだって思った。




もう一度言う、なんて拒絶されるとわかってるのにする勇気は私にはない…





(私はもう君に拒絶されたくないだけなの)




目を瞑り、何も言わずにいた…




すると…




―ギュッ…―




鎖を掴んでいる手に暖かい蒼斗の手が触れた。



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