幸せである理由
鋭い黒曜石のような蒼斗の眼をあたしは真っ直ぐ見つめた。




「っ…答えろ…って……そのままの意味だよっ……!!」



その時の私は今まで見たこともないくらい眼を見開き驚いた蒼斗がいたなんて気付きもしなかった。





「…ふざけないでよ…っ…だいたい…そっちは何も言ってくれなかったのに…っ…答えてくれなかったのに…っ…!!!!」




わかってる…




こんなの只の駄々を捏ねている子供と一緒だ…




「……好きな人いるんでしょ?…っ…だったら…その人だけに優しくしてよ!!…幼馴染みだからって理由で…中途半端に優しくしないでよ…っ…!!!」




勝手なことばかり言っているのは私の方…




それでも何も言わず私の言葉を聞く蒼斗を前に、言葉も…涙も止まらなかった…





「どうしてさっきみたいに突き放してくれないのっ…!?…酷いよ…っあきらめさせてよ…っ!!!」




拒絶の言葉なんかさっきまで聞きたくなかった。




でも…




(今は優しい言葉もいらないの)




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