幸せである理由
高校に入ってからも蒼斗に告白する子は絶えなかったけど、蒼斗は誰とも付き合わず、誰が“夏川蒼斗の好きな人”なのか噂ばかりが尽きなかった。


数々の噂は蒼斗本人から聞いてなかったから私は信じようとしなかったけど不安は消えず、その不安は今も健在だった。




いつか私の隣からいなくなってしまうんじゃないか…って…




だから…




(幼馴染みとしてでもいいから隣にいたいって思ったの。)




でもこれは単なる私の我儘。




(蒼斗は何も悪くない)




だから本当は泣いちゃいけない…




でも…




「…っ…じゃあ……私は…蒼斗にとって…何…?」




でも涙は止まらない。




「…くだんねぇこと聞くなよ。…てかさ…“幼馴染み”だからって何で全部話さなきゃいけねぇの?」


「…っ……」




蒼斗から投げられる冷たい雰囲気に私は怖い以上に哀しくなって蒼斗に背を向けた。


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