幸せである理由
告白もできなかった、この恋…




行き場のない思いを消す手段を私は知らない…




「……蒼…斗。」



「……………。」




蒼斗は何も言わない。




きっともう私なんかのことはどうだっていいんだろう…




なら私は最後に伝えよう…




カミサマ。




後ろを向いたままこの思いを告げる弱虫な私を許して下さい。




蒼斗。




もう君と会うのは最後にします。きっと私は君に会う度に泣いてしまうから。




だから最後の我儘です。




許して下さい。





そのままドアに向かいノブに手を掛けて私は涙を拭って今自分ができる最大の明るい声で話始めた。




「今までごめんねっ!勝手なことばっかり言って…」




ピクリと背後で蒼斗が動く気配がした。




「…そうだよね…幼馴染みだからって言わなきゃダメとかないよね…」




蒼斗に言っているのか、自分自身に言い聞かせているのか…?




多分後者だ。



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