幸せである理由
錆びれたブランコ
泣き声をあげるのは



錆びれたブランコか私か



side・雫



今は12月の深夜…



公園は当たり前だけど寒い上に真っ暗だった。



私は公園の端にある錆びれたブランコに座り、ゆっくり漕ぎ始めた。



―ギィ…ギィ…―




辛い時はいつもここに来ていた……



蒼斗と馬鹿みたいに喧嘩した時。


蒼斗が女の子に告白されて嫉妬してしまった時。


蒼斗に酷いことを言っちゃった時。


蒼斗が…


全て蒼斗ばかり。



そんな時必ず私はここに来てブランコに乗り、その後蒼斗が向かえに来てくれた……




「っ……」



一人で思い出に浸るなんてしたくなかった……




(ずっと君と思い出を話しながら笑っていたかった)




依存しすぎていたのかな…



だから蒼斗は私が鬱陶しかったのかな…



「っ…ぅっ…あおとぉっ……」



君は優しいから言わないでいてくれたんだね…



我慢してたんだね…




(止まらない涙を止めてくれる人はもういない)



「っ…ゃ…だ……ゃぁ…っ…」


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