25時のシンデレラ
「…おい。今、何考えてた?」
広い綺麗なマンションの一室。
真っ黒なふかふかのソファーの上で私の髪を耳にかけながら囁いているのは、紛れもなく夏目部長で。
ネクタイは取れシャツのボタンが三つくらい外れているのも、その体重をかけるように私にもたれかかっているのもやっぱり、夏目部長で。
「あ、あの…!」
「なんだよ」
「ち、ちか、近くないですか…!?」
「自分の女の近くに行くのに何か問題でもあんのか?」
クツクツと喉で笑いながら私の耳に唇を寄せ髪を撫でる部長。
職場では絶対に見られないその笑顔にボッと顔が熱くなる。