25時のシンデレラ
ゴツゴツした長いその指が、薄く形のいいその唇が私の肌に微かに触れる。
それだけで、どうにかなってしまいそうだ。
一体、誰が想像できただろうか。
社内一クールな鬼部長が、目を細め私に触れている光景を。
私自身想像すら出来なかった。
この人が、まさか自分の恋人になるなんて。
「俺のこと考えてただろ」
気付いたときには後ろから覆いかぶさるように抱き締められていた体。
その暖かさと匂いに包まれてしまえば、もう抵抗なんて出来やしない。
私は彼の問いに素直に頷いた。
「…なんで、部長は私を選んでくれたのかな、って」