25時のシンデレラ
ずっとずっと見てるだけだった憧れの人。
叶わないと思っていた恋。
それがどんな運命か、私は今この人の腕のなかにいる。
触れることを許される距離にいる。
「ったく…可愛いことしやがって」
彼の噂をする女の子たちは知らない。
彼が甘く私に口付けることを。
その低い声で甘く愛を囁くことを。
口の端を上げながら私の肌をなぞるその指に体の芯が震える。
もう、この人の腕からは抜け出せない。
「明日休みだろ。泊まってけよ…な?」
甘美な果実のような誘いに、私は静かに首を縦に振った。
その先にある甘い時間を求めて。
End.