Someday[短編]


「…どうしたんですか…!?」


「…っく…」




亜紀さんは俺の顔を一度見上げて、そのまま俺の腕の中から抜けると走り出してしまった。

俺は嫌な予感がして、急いで亜紀さんを追いかけた。




「亜紀さん!亜紀さん…!!」




近くにあるコンビニや公園を見ても…亜希さんはいなかった。

いない…何でだよ…!?
どこ行ったんだよ…!!




「亜紀さん!!いたら返事しろよ!!」




その時、俺の耳に小さくすすり泣く声が聞こえた。
周りを見回すと、
薄暗い、切れかかっている電灯の下にあるベンチに、亜紀さんは座っていた。




「亜紀、さん…?」


「…光貴くん…」




亜紀さんは無理に笑おうとしていた。
その笑顔が、やけに痛々しかった。


< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop