Someday[短編]
「…え?」
驚いて顔を上げると、その子は俺にニコリと笑いかけた。
「あたしの名前でしょ?
亜希だよ♪」
「あ…うん…」
考えてたことが分かった、っていうのも驚いたけど…
“亜希だよ”
何だよ、それ。
神様ってさ、ほんと意地悪だよな…
意地悪すぎて笑えてくる。
俺は、忘れたいのに。
亜紀さんのこと、忘れなきゃいけないのに。
こんな時に、こんな偶然ってある…?
「…光貴くん?どうしたの?」
「え?いや、何も…」
なあ、俺はどうしたらいい?
このままずっと亜紀さんを想って、それで兄貴と幸せになっていくのを見守る?
それとも―――…