Someday[短編]
「…え…?」
俺の突然の言葉に、亜希は驚いたような表情を浮かべた。
「…ダメ…?」
「えと…ダメって言うか…」
俺は真っ赤になってうつむく亜希の頬に、軽く触れた。
「…ダメ…?」
「――いい、よ…」
亜希の返事を聞いて、俺はすぐに唇を重ねた。
時折、亜希の甘い声が聞こえる。
亜紀さん…
『あ、光貴くんおかえりっ』
兄貴に見せる、その笑顔が辛かった。
『今からご飯作るから少し待ってて♪』
兄貴のために、そこまでする亜紀さんを見るのは苦しかった。
『光貴くんは、優しいよね』
無防備に笑う、その笑顔が嫌だった。
『光貴くんも、早く見つかればいいね。
…大事な人。』
すぐ近くにある、その笑顔に触れたかった。