Someday[短編]
「うん…ごめんな…!!」
俺は亜希に背を向け、急いで家へと向かった。
本当は、あのまま抱きしめてやるべきだったのかもしれない。
あの涙を、拭ってやるべきだったのかもしれない。
でも俺は、何よりも、誰よりも…
亜紀さんのあの笑顔を、俺が守ってやりたいって思った。
フラれるのは分かってる…
でもただ、亜紀さんにこの想いを伝えたい。
俺は夢中で走り続けた。
走って走って、家に着き、格好なんてつかないほど服も髪もグシャグシャだった。
軽く息を整えて、ドアを開けようとした時…
ドンッ…!!
「え…亜紀、さん…?」
ぶつかったのは…
涙を流して、俺の家から出てきた亜紀さんだった。
ぶつかった拍子に俺の胸に亜希さんが倒れ込み、つい至近距離で向かい合う形になった。