悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~




「……お前は、おれの妻だよ?」

「……っ」

「婚約者だなんて、さすがに許せないね。他のことは百歩譲って許せても、これだけはさすがに、ね……」


玲士の掠れた声が灯里の耳を打つ。

その声に怒りだけではない何かを感じ、灯里は内心で息を飲んだ。


自分を求める、切ないまでの心。

一年前と変わらない、その心。


――――自分は、玲士を傷つけてしまった。


灯里の胸に後悔の念が痛みとともに湧き上がる。

じっと見つめる灯里の視線の先で、玲士の瞳が切なげに歪められる。

……次の瞬間。

玲士は灯里の背をかき抱くように強引に抱き寄せた。



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