悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



「……いつになったらお前は、おれだけのものになるの?」

「……っ……」

「体を手に入れても、心を手に入れても、結婚しても……。おれはお前を手に入れた気がしない。なぜなんだろうね?」


玲士の切なげな声が耳に忍び込む。

灯里はその声に胸が軋むような気がした。


「おれだけが夢中になって、おれだけが嫉妬して……。今だって、おれにはお前しか見えない。なのに、どうしてお前は……」

「……っ、玲士……」

「おれはお前が欲しい。お前しか欲しくない。お前は、誰にも渡さない……っ」


玲士の激情が灯里の全身を包み込む。

……切なさをぶつけるような、その抱擁。

灯里は玲士の腕の中で、なすすべもなく呆然と身を固まらせていた……。



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