悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
<side.玲士>
土曜の電車は通勤客が少ないためか、いつもより空いている。
曇り空のせいもあってか観光客の姿も少ない。
雨を含んで重たく立ち込めている、灰色の厚い雲。
――――窓の外に広がる曇天は、まるで自分の心を映しているかのようだ。
玲士は吊革に掴まりながら昨夜のことを思い出していた。
……自分の腕の中で泣き叫んでいた灯里。
灯里の泣き顔を思い出すと胸が軋むように痛む。
あんな抱き方をした自分を灯里はどう思っただろうか……。
それを考えると後悔だけが胸に広がっていく。
灯里を幸せにしたいと思うのに……。
歪んだ嫉妬が玲士を苦しめる。
恐らく灯里は巻き込まれただけだろう。
灯里の意志で婚約者などになったわけではない。
そう分かっていても、憤りを抑えることができなかった。