悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
「……やっぱ奥さんと何かあったんだな?」
「別に、長谷部さんには関係ありません」
「別にいいだろが。……しかしこれではっきりしたな。お前の弱みは、奥さんだな?」
「……!」
長谷部の言葉に玲士は目を見開いた。
長谷部はそんな玲士を楽しげに見、続ける。
「別にいいんじゃないのか? 弱みがある方が人間強くなれる。お前はきっと自分自身より奥さんの方が好きなんだろうな。……幸せな奴だよ、お前は」
長谷部は腕を組み、椅子の背に寄りかかった。
――――幸せな奴。
長谷部の言葉に玲士は驚き、息を飲んだ。
長谷部はグラスの水を一口飲み、続ける。
「新婚だからとか、そういう意味じゃなくてだな。……自分以上に大事な人間がいる。それを幸せって言うんじゃないかと、俺は思うね」
「……」
「だから奥さんを幸せにしたいと思ってる時点で、お前は幸せな人間なんだ。羨ましいぜ、全く」