悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



20:00。

灯里はキッチンに立ち、ご飯を相手に格闘していた。

――――今日の夕飯は、オムライスだ。


「……あ……あれっ!?」


なぜかチキンライスがやたら粘り気を帯びている。

チーズを入れると美味しいと何かの雑誌で書いてあったので入れてみたのだが、どうやら量が多すぎたらしい。

フライパンの中でもったりしていたチキンライスは、しだいに焦げて固まっていく。


「……そ、そろそろ出した方がいいかな?」


灯里は慌ててお皿にチキンライスを出した。

なぜかチキンライスらしからぬとても香ばしい香りがする。

灯里はがっくしと肩を落とし、チキンライスを見た。


――――玲士が作るオムライスとは、雲泥の差だ。


でも、今日は何が何でもオムライスにしたい。

オムライスは玲士が灯里に初めて作ってくれた想い出の料理だ。

あの雨の夜の翌日も、玲士は灯里にオムライスを作ってくれた。


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