悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~




――――失敗だ。

これはあたしが食べよう、と肩を落としたとき。


キィという音とともに玄関のドアが開き、玲士が姿を現した。

……朝と同じ、黒いスーツを身に着けたその姿。

玲士の姿を見、灯里は一瞬息を飲んだ。

が、すぐに笑顔で言った。


「おかえり、玲士」


玲士はコート姿のままじっと灯里を見つめる。

……やがて。

玲士は鞄を放るように床に置き、すたすたと灯里の傍へと歩み寄ってきた。

無意識のうちに背筋を強張らせた灯里の腕を掴み、ぐいと引き寄せる。


「……っ!」



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