悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



「お前だけが悪いわけじゃないよ。冷静になれなかったおれも悪かった。……おれ達、多分、もっと話さないとダメだね?」

「うん、そうだね……」

「これからゆっくり話していこう? おれたちは夫婦だ、時間は腐るほどある。……ね、灯里?」


玲士の声が灯里の心を優しく溶かしていく。

灯里は視界が滲むのを感じながら、こくりと頷いた。


年を取ったからといって、大人になれるとは限らないように……。

結婚したからといって、夫婦になれるとは限らないのだろう。

夫婦になるためには、絆を得るためには、お互いを知る努力が必要だ。


――――夫婦になったからこそ、しっかりと言葉で伝えなければならないことがある。


玲士の指がそっと灯里の髪を梳く。

――――指先から伝わる、玲士の想い。

その優しい感触に、灯里はそっと潤んだ目を閉じた……。


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