悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



店員は顔を輝かせて言う。

店員は持っていたハンガーを壁のフックに掛け、別の棚の方へと歩いていった。

どうやら新婚旅行と言ったことで店員は使命感のようなものを感じたらしい。

店員は別の棚をガサガサと漁った後、あるものを手にして戻ってきた。


「新婚旅行でタヒチなら、これしかありませんよ、お客様!!!」


と言い、ぐいと押し付けられたのは……。


「……」


灯里が想像だにしていなかった代物だった。

え? と思う灯里に、店員はなぜか親指を立ててウインクして言う。


「色も形もバッチリ! まさにお客様のために作られたようなやつですよ!!」

「……そ、そうですか……ね?」

「これならダンナさんも一撃ですよ! これにしとけば絶対に間違いありません!!!」


店員は物凄く熱意のこもった声と表情で言う。

一撃って……。


灯里は怪訝そうに首を傾げながら、店員に押し付けられたソレを見た。

自分では明らかに選ばない品物だ。

けれどプロである店員がここまで言うなら大丈夫だろう、きっと。

灯里は顔を上げ、言った。


「……では、これをください」

< 144 / 172 >

この作品をシェア

pagetop