悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
――――10分後。
灯里の姿はまだショッピングモールの中にあった。
その右手には先ほどの店で買った水着の袋がある。
なんか勢いで買ってしまったが、とりあえずこれで泳ぐことはできる。
灯里はそのまま2階の奥の婦人服コーナーへと向かった。
ワンピースが並ぶ棚に行き、うーんと首をひねる。
「うーん、ディナーってどういう格好で行けばいいんだろ……」
旅行の本にはフォーマルドレスと書いてあったが、タヒチなのであまり堅苦しい格好でもおかしいだろう。
……と、その時。
通路の横から若い女性店員が声をかけてきた。
「何かお探しですか? お客様」
「あ、はい……その……」
灯里がフォーマルドレスを探していると言うと、店員は少し離れて灯里の全身を眺めた。
「お客様は健康的なお肌の色なので、原色系が似合いそうな気がしますね~」
さきほどの水着ショップの店員と同じことを言い、店員は灯里をじっと見つめる。
自分は原色系のものが似合うのだろうか?