悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



その日の夕刻。

灯里はバルコニーの椅子に腰を下ろし、夕陽に染まる海を眺めていた。

――――結局今日、泳ぐことはできなかった。


『別に、それを着たまま泳ぐなら構わないよ?』


と玲士は言ったが、それではダースベイダーを通り越して海坊主になってしまう。

エメラルドグリーンの海の中で黒く大きなものがぷかりぷかりと海に浮かんだ後、ざばぁっと海から上がる。

自分で想像しても恐ろしい図だ。

――――絶対に通報される。

と思い、灯里は浅瀬を散歩しコテージに戻った。

当たり前だが不完全燃焼気味だ。


「……」


こうなったらもう今日の夕飯に賭けるしかない。

夕飯はロビーの近くのレストランになるらしい。


あと30分で夕飯の時間だ。

そろそろ支度をしよう。


灯里は椅子から立ち、バスルームの方へと向かった。



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