悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



「……ねえ、玲士」

「なに?」

「玲士は……あたしを連れて歩くのが、恥ずかしいの?」


思っていたことがぽろりと口から出てしまった。

そんなことはない、と自分でもわかっている。

けれど今日のことに関してだけはどうしても納得がいかない。


灯里はじっと玲士の瞳を見つめた。

玲士は灯里の言葉に一瞬瞳を鋭く光らせた後、ひとつ息をついてくすりと笑う。


「そんなわけないでしょ。お前もそれはわかってるはずだよ?」

「でも……じゃあなんで、今日……っ」


言い募る灯里を、玲士はそっと抱き寄せた。

……至近距離にある、色を帯びた瞳。

トクンと胸を高鳴らせた灯里の耳元に、玲士は甘い声で囁く。


< 168 / 172 >

この作品をシェア

pagetop