悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
相変わらず悪魔ではあるが、一緒に暮らし始めてから玲士はこういう笑顔を見せることが多くなった。
一年前、忍村商事にいた頃には絶対に見ることのなかった笑顔。
一年前ならこんな笑顔を見せられたらむしろ恐怖を感じていたかもしれない。
この一年で玲士が変わったように、自分もまた変わったのだろう。
としみじみ思った灯里の向かいで、玲士は自分の箸を手にしながら口を開く。
「……でね、灯里。明日なんだけど」
「うん」
「9時の新幹線を取ってあるから、8時にここを出ることになるかな。となると6時半起きだけど、お前、大丈夫?」
玲士は心配そうに言う。
明日はお互いの実家に新年の挨拶で顔を出すことになっている。
灯里はこくりと頷いた。
「大丈夫だよ。今日は早く寝るから」
明日は結婚してから初めての帰省だ。
明日はまず初めに玲士の家に行き、その後灯里の家に行くことになっている。
ちなみにどちらの家も空き部屋がなく泊まることができないため、明日は日帰りの予定だ。
かなりの強行軍だが、仕方がない。
「後で荷物をまとめようか。明日の朝は支度してる余裕はないからね」
「うん、わかった」
灯里はもう一度頷き、雑煮の椀をずずっと傾けた。