悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



「結婚式というのは、将来の誓いだけではなくてこれまでお世話になった人にお礼をする場でもあるの。あんた昔、晃人君に相当お世話になったでしょ?」

「……」


そ、それはそうだが……。

灯里はごくりと息を飲んだ。


母は、自分と晃人の間に何があったのかを知らない。

晃人が忍村商事の取締役だったというのは会社を辞める前にちらりと両親に話してはあったのだが、二人の間にあったことについてはさすがに話していない。


母はお茶を飲み、続けて言う。


「幸い、晃人君は忍村商事の取締役でしょ? 会社関係ということで呼べば、周りも変な風には思わないわよ」

「……で、でも……」

「玲士さんも忍村商事にいたわけだし。呼んでも別におかしくはないんじゃないかしら?」


母の言葉に灯里は蒼白な顔で固まった。

晃人がただの幼馴染で、ただの上司であれば呼んだかもしれない。

けれど自分と晃人はもうただの幼馴染という関係ではない。


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