悪魔のようなアナタ ～with.Reiji 3～

『幼馴染には戻れない』

――――あの時の晃人の言葉が脳裏をよぎる。

さすがに晃人を結婚式に呼ぶわけにはいかない。

いつか連絡を取ることもあるかもしれないが、それは少なくとも、今ではない。

と娘が思っていることなど露も知らない母は、あろうことか玲士に話を振った。


「玲士さんも、晃人君のことはもちろん御存じですよね?」


なぜ娘の夫に対して敬語なのか。

しかし問題はそこではない。


ひぃと青ざめた灯里の横で、玲士は一瞬瞳を陰らせたが、すぐににこりと笑った。


「ええ、もちろん。一緒に仕事したこともありますから」

「じゃあ特に問題は……」

「お母さん! それはちょっと考えるから! また決めたら言うよ」


灯里は慌てて叫ぶように言った。

――――結婚式に晃人を呼ぶことはできない。

晃人の心情を考えても、玲士の心情を考えても……それは、明らかだ。

けれど本当の理由をまさかここで言うわけにはいかない。

後日何か別の理由をつけて、呼ばないことにしたと言うしかない。