悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
「……でもね、灯里。アイツは呼ばないでもいいけど、そうもいかない奴がいる」
玲士の言葉に灯里はプルタブに伸ばしかけた手を止め、息を飲んだ。
呼びたくなくても呼ばなければいけない人間。
……思い当たるのは一人しかいない。
玲士は缶コーヒーを一口飲んだ後、そっと灯里の頭に手を置いた。
「……今日、お前があの女のことを気にしてたのはおれも知ってた」
「玲士……」
「ごめん、灯里。あの女のことはおれがどうにかするから。すぐにとはいかないけど、近いうちにね?」
どうにかって……。
灯里は目を見開いた。
あの女はこう言っては何だが、相当な手練れだ。
しかも玲士の実家に深く根を張っている。
生半可なやり方では事態を逆に悪化させてしまうだろう。
かといって、あの女を許すなんてことは……。
心配そうに見上げる灯里に、玲士は少し笑った。