悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
翌日の12:00。
新幹線を降りた二人はその足でそのまま玲士の家に向かった。
冬空の下、木枯らしが街路樹の枝を揺らして吹き過ぎていく。
玲士の家は駅からバスで20分ほどのところにある。
玲士の家に行くのは、あの挨拶に行った日以来だ。
バスを降りた後、灯里は玲士に手を引かれて歩きながら玲士の家族の顔を一人ずつ思い出していた。
玲士によく似た綺麗な顔立ちの玲士のお母さん。
そしてダンディな雰囲気のお父さん。
お父さんによく似たお兄さんの亮士さん、やんちゃな翔太くん、そして……。
「……っ……」
灯里は唇を噛みしめた。
――――あの人の顔は思い出したくない。
けれどきっと、顔を合わせないわけにはいかないだろう。
普段は離れて暮らしているし、日々忙しいためあまり思い出すこともないのだが……。
……玲士を苦しめた、あの女。
玲士とあの女が関係を持っていたということより、冷静な玲士が我を失うほど、あの女に苦しめられたということの方が、灯里にとっては辛い。