悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
玲士はその端正な顔に笑みを浮かべ、出店の方へと歩いて行った。
やがてたこ焼きを片手に灯里の傍へと戻ってくる。
ほかほかと湯気を挙げるたこ焼きはけっこう大きく、とても熱そうだ。
「冷ましてあげるから、ちょっと待ってて?」
玲士はたこ焼きを少し割り、ふぅと吹いて冷ました。
そのままぷすりと爪楊枝でたこ焼きを刺し、灯里の口元に運ぶ。
「ほら、口開けて?」
「……っ……」
灯里は頬を真っ赤に染め、恐る恐る口を開いた。
なぜかはわからないのだが、今日は玲士がいつになく優しい。
あまりに優しすぎて怖いくらいだ。
玲士は素直に口を開けた灯里を愛しげに見つめながら、灯里の口にたこ焼きを放り込む。
たこ焼きは温かく、ソースと新鮮なタコの風味が口いっぱいに広がり、周りが寒いせいもあってかとても美味しい。
灯里は戸惑いながら、玲士に差し出されたたこ焼きを一つ、また一つと食べた。