悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
「吉……じゃなかった、水澤灯里です。よろしくおねがいしますっ」
結婚したので、この会社では新しい苗字でいこうと思っているのだがまだ正直慣れない。
背筋を正した灯里に、麻衣子は少し笑って言った。
「私も機器営業課で営業事務をしています。これから宜しくお願いしますね、水澤さん?」
「は、はいっ。こちらこそっ」
灯里はぺこりと頭を下げた。
どうやらこの人が灯里の同僚になるらしい。
麻衣子はくすりと笑い、持ってきたICカードと書類を灯里の前に差し出す。
「こちらが水澤さんのICカード兼ネームプレートになります。居室に入る際に必要になりますので、紛失しないよう注意してくださいね?」
「あ、はい。ありがとうございます」
ICカードには『水澤灯里』と名前が入っている。
灯里はまじまじとそれを見てしまった。
……なんだか、とても新鮮だ。
その後、灯里は個人情報保護の書類などにサインをし、麻衣子に連れられて居室へと向かった。