悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



宮村精機が入っているビルは5階建てで、宮村精機はそのうち4階と5階の2フロアを占めている。

人数は全部で100人ほどで、いわゆる中小企業の類に属する会社だ。

灯里が所属する機器営業課は10人ほどの営業マンで構成されている。

フロアは課ごとにパーテーションで仕切られており、機器営業課はフロアの西の端にある。

灯里は麻衣子とともに機器営業課の課長席のところに歩み寄った。


「課長。今日から営業事務の仕事をしていただく、水澤さんです」

「あぁ。はじめまして。よろしくお願いします」


課長席に座っていたのは、少し白髪が混じった痩せ形の男性だった。

男性はゆっくりと立ち上がるとスーツのポケットから名刺を出した。


「課長の村上です」


灯里は両手で名刺を受け取り、名前を見た。

名刺には『村上紀夫』とある。

村上課長はぽりぽりと鼻の頭を掻きながら、課員達の席を見渡す。

課員達は半分ほど在席しており、灯里と目が合うとぺこりと会釈する。

灯里もぺこりと頭を下げたが、その中に見覚えのある顔を見つけて眉を上げた。


「……あれ?」


と灯里が思わず声に出すと。

その男性社員も驚いたように声を上げた。


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