悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~



――――その日の夜。

22:00。


夕飯と入浴を済ませた灯里はリビングのソファーで女性雑誌をめくっていた。

今日はスーツで行ったが、女性社員達は普通のOLらしい格好をしていた。

忍村商事は事務服があったのだが、今度の会社は私服だ。

少し服を買い足す必要があるかもしれない。

OLらしい綺麗目な服の方がいいだろうか……。


灯里が住んでいた地方都市に比べると、街を行き交う女性たちは皆、綺麗な格好をしている。

灯里は正直女らしい服というのはあまり得意ではないのだが、そこは会社の雰囲気に合わせた方がいいだろう。

うーんと首を捻りながら雑誌をめくる灯里の手元を、隣に座った玲士が覗き込む。


「……なに? 服?」

「あ、うん。今度の週末、会社用の服を買いに行こうかなって思って」

「へぇ。……そういえばまだ聞いてなかったね。新しい会社はどう?」


玲士は残業してから帰ってきたため、先ほど夕飯と入浴を済ませたばかりだ。

灯里は雑誌から顔を上げ、玲士を見た。



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