悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
「――――おれの妻に何か用?」
悪魔を通り越して魔王にすら見える、威圧感に満ちた強烈な視線。
氷の刃のようなその瞳に男は息を飲んだ。
顔立ちが整っている分、その苛烈さは尋常ではない。
傍から見ている灯里ですら魂が凍りそうになる。
男は恐怖のあまり、ヒィィと声を上げて駆け去っていく。
玲士はその背を冷ややかな視線で眺めた後、灯里に向き直った。
「……お前ね。東京はお前が思ってる以上に危険なんだ。気を抜くんじゃないよ?」
「で……でも、今のは……っ」
「ぼうっとしてたらあっという間に悪い奴の餌食にされるよ? お前ただでさえミジンコなんだから、人一倍気をつけないと」
ただでさえミジンコって……。
酷い言われようだが、玲士が自分を心配してくれているのはわかる。
灯里は軽く頷き、玲士を見上げた。
玲士ひとつ息をつき、腕を伸ばして灯里の肩を抱き寄せる。
「やっぱり、お前は目が離せないね……」
「……っ、玲士?」
「自覚がないからタチが悪い。どうすればいいんだろうね、全く……」
ため息交じりに玲士は言う。
灯里は首を傾げ、玲士の顔を見上げていた……。