悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
「……っっ!?」
灯里は目前に広がる光景のあまりの異様さにヒィと仰け反った。
エントランスには髑髏の肖像画が並び、頭上には怪しげなシャンデリアが垂れ下がっている。
中は中世ヨーロッパの監獄を模した感じで、壁の燭台が不気味な雰囲気を放っている。
明らかに居酒屋という雰囲気ではないが、表の看板には確かに居酒屋と書いてあった。
これはどうやら、今流行りの『コンセプト居酒屋』というやつらしい。
都内には他にも忍者をモチーフにした居酒屋やヨーロッパ貴族の館を模した居酒屋があるらしいが……。
この店はどうやら西洋中世の監獄を模した居酒屋らしい。
――――こういう店に来るのは、初めてだ。
灯里は思わずまじまじと辺りを見回した。
「なんか、すごいね……」
「ええ……」
息を飲んだ灯里と麻衣子の前に、黒い服を着た女性店員が歩み寄ってきた。
女性はにこりと笑い、ポケットからあるものを取り出した。
……手錠だ。
唖然とする灯里の視線の先で、女性店員はにこやかに言う。